最後にお母さんに髪を結ってもらったのはいつだろう。髪を結いながら、私の話を「うんうん」と聞いてくれたお母さん。いつでも自分の存在をまるごと肯定してくれたお母さん。

だけど当時は、自分を思いやるお母さんの言動を理解できなかったり、疎ましく思ったり、ときには反発してみたりもしました。

そんな「あのときはごめんね」を、大人になった今、もう一度お母さんに髪を結ってもらいながら伝えます。

「おかあさん、あのね」

振り向けば、いつでも大きな応援旗を振ってくれていたお母さん

今回、お母さんに「ごめんね」を切り出すのは、先日結婚式を終えたばかりのハルナさん。まずは、お母さんの人柄やお母さんとのエピソードを語っていただきました。

画像1: 振り向けば、いつでも大きな応援旗を振ってくれていたお母さん

──ハルナさんから見てお母さんはどんな人?

ハルナさん「母は、いつだって私と対等に接してくれるんです。むしろ『どっちがお母さんだかわからないね』って言われるくらい。母は暑かったりお腹が空いていたりすると不機嫌になるので、母にあげる用のお菓子をカバンの中に常備しています(笑)」

画像2: 振り向けば、いつでも大きな応援旗を振ってくれていたお母さん

──素直で正直なお母さんなんですね。

ハルナさん「私がすることをいつでも全力で応援してくれますね。私は、『できないかも』という気持ちが一瞬でもよぎると踏みとどまってしまう性格なんです。母はそんな私の性格を知っていて『ハルナはやればできるよ』といつも背中を押してくれます」

画像3: 振り向けば、いつでも大きな応援旗を振ってくれていたお母さん

──本日、そんなお母さんに謝りたいことは?

ハルナさん「高校生のとき、アルバイトを始めて、彼氏もできて。そのときは周りが見えなくなって自分勝手な行動ばかりしていました。送り迎えを毎日してくれてる母を無下にしてしまっていましたね」

画像4: 振り向けば、いつでも大きな応援旗を振ってくれていたお母さん

ハルナさん「それと、私が専門学校に入学して一人暮らしを始めたとき、父が病気を患ったんです。実家には病気の父だけじゃなく、介護が必要な祖父母もいました。でも当時、私は実習が忙しくて実家に全然帰れていなくて。今になって、もう少し母を支えてあげられたんじゃないかなって後悔しています」

どんなときも自分を応援してくれたお母さん。若さゆえ、そんなお母さんの存在を顧みず接してしまった時期を悔やむハルナさん。果たして、娘の懺悔をお母さんはどう受け止めるのでしょうか。

味方でいるスタンスを貫き続けてくれた小学生・中学生時代

画像1: 味方でいるスタンスを貫き続けてくれた小学生・中学生時代

ハルナさん「懐かしいね。小学生のときぶりかな?」

お母さん「そう言えば、小学生の頃のハルナは先生からしょっちゅう頼まれ事をされる子だったよね。すごく真面目にこなすから先生が重宝がって、ハルナばかりに頼るようになって……」

ハルナさん「あったあった。小学生なのに、家に仕事を持ち帰って寝不足になって泣いてたよね(笑)」

髪を結う懐かしい感覚から、ハルナさんの小学生時代の記憶を手繰り寄せるお母さん。話題はハルナさんの小学生時代から中学生時代へと移り変わります。

画像2: 味方でいるスタンスを貫き続けてくれた小学生・中学生時代

お母さん「ハルナはそれまで人から好かれることが当たり前に育ってきたけど、中学生に入って人から嫌われる体験を初めてして。すごくショックを受けてたよね」

ハルナさん「仲違いしてた女の子の間に立っちゃったんだよね」

お母さん「そうそう。そのとき『人には相性があって決してハルナが悪いわけじゃないんだよ』って言って聞かせたのを覚えてる」

ハルナさん「いつも言ってくれてたよね」

お母さん「何があってもハルナの後ろでママとパパはおっきな応援旗をふってるから大丈夫だよって、ね」

修羅場は起こらず無事終了!? 記憶に新しいハルナさんの結婚式

画像1: 修羅場は起こらず無事終了!? 記憶に新しいハルナさんの結婚式

ハルナさん「昔の話をしてると、この間の結婚式を思い出すな……」

お母さん「結婚式のベールダウンのとき『パパとママの間に生まれてくれてありがとう』とも伝えたね。最後に読んでくれたハルナからの手紙にはその返事が書かれていて嬉しかった」

ハルナさん「みんなから『いい式だったね』って言ってもらえたよね」

お母さん「普段youtubeで“修羅場 結婚式”って検索してよく見てるからさ、勘違い男が入ってきて『俺のハルナだ!』とか言い出したらどうしようって不安だったけど(笑)」

ハルナさん「やだ……見るならもっと幸せそうな動画にしてよ!」

画像2: 修羅場は起こらず無事終了!? 記憶に新しいハルナさんの結婚式

お母さん「お色直しのときもよく覚えてるよ」

ハルナさん「アース・ウィンド・アンド・ファイアーの“セプテンバー”を流して、パパとママと私、3人並んで即興で踊ったんだよね」

お母さん「会場、爆笑だったね〜」

ハルナさん「招待した人から『あんなに楽しい中座初めて見ました』って言われた(笑)」

お母さん「なんだか、つい最近のことなのに遥か遠くのことのようにも思えるなあ」

つい最近行われた結婚式の話題で盛り上がる2人。ここで、ハルナさんは結婚式では伝えられなかった想いをお母さんに告白します。

結婚式では伝えられなかった、無鉄砲だった時期の「ごめんね」

画像1: 結婚式では伝えられなかった、無鉄砲だった時期の「ごめんね」

ハルナさん「結婚式のときに読んだ手紙ではたくさん『ありがとう』を伝えられたんだけど、実はまだ伝えられてない『ごめんね』があって」

お母さん「え! なに!?」

ハルナさん「高校生の頃……」

画像2: 結婚式では伝えられなかった、無鉄砲だった時期の「ごめんね」

お母さん「あの頃はひどかった! 行きも帰りもママはアッシー代わり。シート倒して待ってたら、道行く人から覗き込んで見られるし。挙句の果てに『友達と帰って来ちゃった』なんてメールで言われて……」

ハルナさん「あの時期は自分のことばっかり考えて、勝手だった。ごめんね」

お母さん「でもね、誰でもそういう時期はあるよ。私にもあったもの」

画像3: 結婚式では伝えられなかった、無鉄砲だった時期の「ごめんね」

ハルナさん「あとね、専門学校に入学した頃パパが病気になったじゃん。おじいちゃんやおばあちゃんの介護もあって、ママが大変だったのに、私は一人で離れて暮らしててあまり実家には帰れてなかったよね……」

お母さん「家にハルナがいたら、ママもハルナを頼ってたと思う。でもさ、そうしたらハルナが潰れちゃうでしょ。あのときは家からハルナが脱出できて良かったと思ってるよ」

画像4: 結婚式では伝えられなかった、無鉄砲だった時期の「ごめんね」

ハルナさん「そう言ってもらえると気持ちが楽になる」

お母さん「一人暮らしをして、一人でいる自由と一人で生活していく大変さを理解してくれたじゃん。だから謝らなくていいよ」

ハルナさん「うん……。やだ、涙出てきちゃった」

娘の笑い声は、お母さんにとって何にも変えがたい宝物

画像1: 娘の笑い声は、お母さんにとって何にも変えがたい宝物

お母さん「ママとパパはね、この先の人生でハルナとタッちゃん(ハルナさんの旦那さん)にどんなことが起きても、なんとか乗り越えて欲しいなって思ってる。それだけなんだよ。親は子どもの幸せしか願わないんだから」

ハルナさん「ありがとう」

お母さん「ハルナの笑い声が何より嬉しいんだからね」

ハルナさんが抱えていた後悔を浄化させたお母さんの言葉。最後はお母さんも目を潤ませながら、三つ編みを結い終えたハルナさんの頭を優しく撫でました。

画像2: 娘の笑い声は、お母さんにとって何にも変えがたい宝物

「お母さん、前まできっちりした三つ編みしか編めなかっのに、今回はゆるふわで今風の三つ編みにしてくれたんだね」とハルナさんからの言葉を、誇らしげな笑みで受け止めたお母さん。今回結われた三つ編みは、形を変えても居心地のいい関係を築き続けている2人を表しているようでした。

大人になった今だからこそ、お母さんに「久しぶりに髪の毛結んでくれない?」と甘えてみてはいかが?
背中越しなら、子どものような素直な気持ちで「おかあさん、あのね」と話し出せるかもしれませんよ。

ライター/いちじく舞
写真/高山諒(ヒャクマンボルト)
編集/サカイエヒタ(ヒャクマンボルト)

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