「任せるよ」――さあ、お酒を飲むぞ、というときの父の口癖です。

そんなこと言わずにいろいろあるよ、どれがいい? とメニューを渡すも、決まって「任せるよ。何でも飲むから選んで」。
待て待て。半世紀以上お酒と付き合ってきた先輩のんべえが私みたいなひよっこに任せちゃっていいわけ? まさか、もはや好みを越えて万酒を愛する域に達しちゃったとか……。
聞けば、「お酒を飲むのは好きだけど、どんなお酒が好きなのか分からない」のだそう。そういうことなら、餅は餅屋。お酒のプロに教えてもらおう!

お邪魔したのは、神奈川・海老名の「泉橋酒造」。
1857(安政4)年、橋場酒造店として創業し、「酒造りは米作りから」をモットーに自社栽培も行う老舗です。

画像: 訪れたのは9月の半ば。稲穂が実り始め、風に揺れている時期でした!

訪れたのは9月の半ば。稲穂が実り始め、風に揺れている時期でした!

田んぼに囲まれた敷地内には酒蔵とショップ「酒友館」を擁し、その一角には試飲スペースが。今回は、こちらでベーシックなものから季節ならではのもの(冷やおろしが美味しい季節です、むふふ)まで試飲したいと思います。
精米や酵母といった難しい話は一切なし! 試飲する中で父の好みをのんびり探り、お酒との距離をより縮めてもらおうじゃないかという算段でございます。

画像1: 「#親子飲み」特別編! 父と娘で酒造見学に行ってみた@泉橋酒造

(※今回特別にご協力いただきましたが、大人の皆さまにおかれましては試飲という名の本気飲みはご遠慮ください)

\体験するのはこの2人!/

画像2: 「#親子飲み」特別編! 父と娘で酒造見学に行ってみた@泉橋酒造

写真向かって左:井上こん(以下、こん)
フードライター。もっとも愛するお酒は日本酒。タイプは端麗から甘口、骨太系まで、食事に合わせて幅広く。

右:父・あきお
建築士。お酒は好きだが特にこだわりはない。試飲前も「味を表現するのって難しそう……」と自信なさげ。

日本酒の感想って意外と難しいゾ!?

画像1: 日本酒の感想って意外と難しいゾ!?

こちらが、江戸時代からの土蔵を改装したショップ「酒友館」。

画像: △6代目にあたる、専務の橋場由紀さんが迎えてくれました。

△6代目にあたる、専務の橋場由紀さんが迎えてくれました。

こん「今日はよろしくお願いいたします。私も父も日本酒は大好きなのですが……」

あきお「お恥ずかしながら、今までよく分からないまま飲んでいました。今回いい機会をもらったので、自分の好みを知れればと思います」

橋場さん「大丈夫ですよ! ご家族でお越しいただくこともよくあります。今夜の晩酌用に何か飲みたいんだけど、って」

販売中の25種類からセレクトしていただいたのは、この4種類!

画像2: 日本酒の感想って意外と難しいゾ!?

左から順に、

1.「生酛 純米大吟醸 楽風舞(らくふうまい)」
2.「赤とんぼ 生酛 楽風舞」
3.「赤とんぼ 生酛 雄町(おまち)」
4.「いづみ橋 恵 青ラベル」

ちなみに試飲用のお猪口には、泉橋酒造のシンボルでもある赤とんぼのロゴマークが。お酒好きの方なら一度は見たことがあるのでは?

画像3: 日本酒の感想って意外と難しいゾ!?

試飲の準備をする間も「ちゃんと味が分かるかなあ……」と不安げな父。今から唎酒師になるわけじゃないんだからもっとリラックスしてよ~。

画像: まずは1番の「生酛 純米大吟醸 楽風舞」から!

まずは1番の「生酛 純米大吟醸 楽風舞」から!

何はともあれ、飲んでみましょ。はい、カンパ~イ!
と、1から順番に飲んでいきます。

画像4: 日本酒の感想って意外と難しいゾ!?

こん「わあ、1はさすが大吟醸! お米をしっかり削っているだけあって、香りからしてインパクトがあるね~。ふくらみのある味わいが印象的」

あきお「うん、すごく濃い」

画像5: 日本酒の感想って意外と難しいゾ!?

こん「……だけ?」

あきお「ちょっと待ってよ~最初から言葉はそう出てこないよ……」

橋場さん「うふふ、重みがある味ですよね。これは単体で飲んでいただくのがお薦めです」

あきお「時間をかけてじっくり飲みたいですねえ。逆にこっちの2はアレだな、アレ」

こん「アレって?」

画像6: 日本酒の感想って意外と難しいゾ!?

あきお「う~ん、う~ん……とりあえず、最初に飲んだ方が濃い!」

こん「うわ、今あきらめたでしょ。でもたしかにさっきの方が濃く感じたのは合ってると思う。こっちは純米吟醸だって」

あきお「え~っと、純米吟醸は純米大吟醸よりお米を削ってないんだっけ……?」

こん「うん、味わいも軽いし、全体的に清らかなイメージだよね。それでいてほどよく余韻もあって飽きないから、私みたいに長時間ゆるゆると飲んでいたいタイプにはぴったりだなあ……はあ~幸せ!」

橋場さん「味が軽いのでサラダとか蒸した白身魚にも合うと思います。そうそう、ラベルのイラストは、やごから成虫になったとんぼが秋に恋の季節を迎えるのを表していて……」

こん「な~るほど! どうりでこのハートマーク!」

画像: △稲穂がおりなすハートマークをバックに飛ぶトンボがデザインされたラベル。

△稲穂がおりなすハートマークをバックに飛ぶトンボがデザインされたラベル。

由来を知ると、お酒はより美味しくなる

橋場さん「3と4は冷やおろし(※夏の間、酒蔵で熟成させてから出荷されるもの)です。今年絞ったお酒なのでそんなに熟成感は強くないですが、ほどよくまろやかですっと切れていくと思います。ちなみに、4に使っている『雄町』はお米作りから当社の社員が携わっているんですよ」

画像: 由来を知ると、お酒はより美味しくなる

こん「わ~これはかなりタイプ! きゅ~っと上がっていって、しゅっと消えるような印象で食中酒によさそう。お米を扱っている方が仕込んだお酒っていうのがまたそそりますね」

橋場さん「食事との相性もいいですね。ちょっと温めるのもお薦めです」

あきお「何て言うんだろう、なんかとろっとした感じがするような……合ってます?(自信なさげ)」

橋場さん「はい、まさに雄町の性質です」

画像: お父さん、徐々に調子が出てきた!?

お父さん、徐々に調子が出てきた!?

こん「おお、当たってる! ほろ酔いになって調子が出てきたんじゃない?」

あきお「(ややドヤ顔で)なんか楽しくなってきたぞ。ところで、お酒の個性ってどこで出てくるんですか?」

橋場さん「お米の種類や磨き方、酵母などです。粒の出来で左右されるワインと違い、お米は修正が効く。いいところでもあり、難しいところでもあり、職人の腕が試されますね。お酒造りには『どんな酒質にしたいか』という設計図があって………」

あきお「“設計図”……? なるほど!」

画像: 父の職業は建築士。“設計図”という言葉に、ピンとくるところがあったみたい。

父の職業は建築士。“設計図”という言葉に、ピンとくるところがあったみたい。

こん「キテるね~。では、いよいよ最後のお酒、4の『いづみ橋』です! これは一言で言えば、端正っていうのかな。万人受けするタイプだね」

あきお「うんうん、わりかしすっと入っていくかな? 1との差ははっきり分かるね」

こん「すっかり1が基準になっちゃった(笑)。意外にもどっしりとした個性派が好きなんだね。こうやって好みの軸が決まると、お酒の世界が広がりそうだね」

父一番のお気に入りをプレゼント!

画像: 試飲の後は、周囲ののどかな風景を眺めながら散策も

試飲の後は、周囲ののどかな風景を眺めながら散策も

こん「さて、初めての試飲体験、どうだった?」

あきお「言葉で表現するのはやっぱり難しかったけれど、普段いかに何も考えずに飲んでいるかが身に染みて分かったよ……。今回、お酒はもちろん、お酒造りにも関心が出てきたよ」

こん「橋場さんの“酒質設計”って言葉に反応していたところなんかは、さすが建築士! イメージに向かって組み立てるという意味では、日本酒と建築に共通するものもあるのかも? 意外な発見があるし、のんべえの父娘にはこういう試飲デートもいいもんだね。いい気分で田んぼまわりをぶらぶらするのも楽しかったし。最後に、今日一番好みだったのは?」

あきお「どれも美味しかったけど、やっぱり1だなあ」

こん「だよね。というわけで……はい! お気に入りとの出会いの記念に私からプレゼント!」

画像1: 父一番のお気に入りをプレゼント!

あきお「え~!!!  わ、これ最初に飲んだ大吟醸だ~! いいの? ありがとう、今夜さっそく飲ませてもらうよ」

こん「この1本を取っ掛かりに、もっと日本酒を好きになってもらえたらうれしいな。これから親子での二人飲みもたくさんしたいし。次は日本酒のあるお店に行こうね!」

画像2: 父一番のお気に入りをプレゼント!

取材協力/泉橋酒造株式会社
取材・編集/井上こん+プレスラボ
写真/鶴田真実

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