親孝行エッセイ「親孝行ってなんだ?」きむらいり
「親に迷惑をかけないこと」
10代の頃は、なにをするにも自分で勝手に決めたこのルールがついてまわった。そして、それを守ることが親孝行になるとも思っていた。
三姉妹の末っ子として生まれ育ったわたしは、常に「いい子」であろうとした。
それは、とても自由な姉たち(すくなくとも、当時のわたしにはそう見えた)の影響もあるかもしれない。
しかし思春期はだれにでもやってくる。もれなく、反抗期も一緒に。
ある日突然、親を、とくに父を避けたくなる感覚に気付いた。なんとなく喋りたくなくて、なんとなく距離を取りたくて、なんとなく洗濯物は別がよくって。
でもわたしは、それらをぐっと堪えた。だって、そんなことをし...