親孝行エッセイ「とびきりの場所」ふつかよいのタカハシ
小学生の頃、いじめに遭っていた。
複数人で回していた交換ノートには、私の書いた文字を打ち消すような大きな文字で、でかでかと悪口が書かれていた。
どうしても学校に行くことができず、ぐずぐずと準備をしているのを見た母は、「今日は学校を休んで、おいしいものを食べにいこう」と間髪容れずに小学校へ欠席の連絡を入れた。
電車を乗り継いで、どこの街へ行ったのだろう。きっと母が好きな銀座かもしれない。学校をサボって食べるお子様ランチはどこか後ろめたく、けれどとてもおいしかった。ごはんの上にちょこんと乗っかった国旗をくるくるとまるめ、ポケットにしまった。
真昼間に、本来いるべきはずの場所にいないのは不思議...