“親子飲み”にお邪魔して、そのお話を聞いてみる本連載。普段から仲が良い2人でも、対面でじっくりお酒を酌み交わせば、いつもと違った話題が出てきそう。

今回お話を聞かせてもらったのは、父・堀 好(このむ)さんと娘の彩(あや)さん。 
お父さんは京都府の実家から、東京の彩さんの家に遊びに来ているタイミングとのこと。家族でお酒を飲む場面は多いけれど、外で一緒に飲むのは初めてだといいます。

生ビールとハイボールを注文して、乾杯!

画像: #親子飲みやってみた!第2回@恵比寿

すぐに2人とも、ごくごくごく……! なかなかのハイペース。

仕事選びにも影響を与えた、小さい頃のお父さんとの思い出

彩さん「子どものころは、よくお父さんの単車のうしろに乗せてもらったよね。3人兄妹だけど、私ばっかり乗ってた気がする」

画像1: 仕事選びにも影響を与えた、小さい頃のお父さんとの思い出

お父さん「そうかもしれんな。上の子2人ともスキーとかにはよく行ってたけど、バイクに乗せてたんはあんただけ。やっぱり、末っ子がかわいいっていうのは昔からあるわ」

彩さん「かわいかったやろ~(笑)」

お父さん「(笑いながら)あんたは心のくすぐり方がうまいんや」

彩さん「お父さんに『バイク乗るか』って聞かれたら、私は『乗る乗る』って言うもんな。でも、単車のうしろはほんまに風が気持ちよくて、ほかの友達が知らないような楽しみを、私だけは知ってるなって思ってた」

お父さん「僕らは『カミナリ族』が流行る前から乗ってるからな」

彩さん「カミナリ族?」

お父さん「『暴走族』って言う前は『カミナリ族』言うたんや。カミナリはバリバリ言うから」

彩さん「へぇ~(笑)。でも、お父さんのバイク好きに影響されて、私は新卒でバイク雑誌の編集者になったんやから」

お父さん「学生時代から読んでた雑誌やから、あのときはうれしかったわ。『老舗のバイク雑誌に娘が勤めたんや』て、周りに言うたな。しかし、単車のうしろに乗せてたことが、そんなにあんたの人生に影響したんやなぁ」

画像2: 仕事選びにも影響を与えた、小さい頃のお父さんとの思い出

彩さん「うん。乗せてもらってなかったら、雑誌の仕事を始めなかったし、それ以降の仕事にもつながらなかったよ」

お父さん「僕はあんたと、親と子以上の関わりになってたわけね」

彩さん「いや、親と子以上にはならんけど(笑)」

画像3: 仕事選びにも影響を与えた、小さい頃のお父さんとの思い出

お父さん「ならんけどさ(笑)。それくらい影響を与えたんやなって思ったんや! 自慢したい娘やで。物怖じしないところとか、なんでもチャレンジして好き放題やっていくところとか」

彩さん「え! そんなん初めて聞いた!」

高校を辞めるという選択。お父さんのホンネは?

関西弁でテンポよく、会話を楽しむ2人。今でこそとても仲が良いけれど、思春期にはケンカも多かったそう。
とくに意見がぶつかったのは、彩さんが高校を辞めたいと言ったとき。
要件をクリアしているはずの学費免除資格がもらえなかったり、中学時代から仲が悪かった人も同じ高校に進んでいたり……彩さんは、どうしてもそれ以上通う気になれなかったのだといいます。

当時のことについて、お父さんはどう感じていたのでしょうか?

お父さん「あんたは平気で『高校辞めたい』って言ったけど、親としては高校も出してやれんのが嫌やったんや。狭い地域で、高校の先生ともみんな知り合いやし、気まずかったで」

彩さん「あのときはよく、お父さんに『どうするつもりや』って怒られたな」

画像1: 高校を辞めるという選択。お父さんのホンネは?

お父さん「子どもにレールを敷くのは嫌やけど、自分が生きてきた道とまったく違ったから、こっちも戸惑ってたんや。高校行って、大学行って、が普通やと思ってたし」

彩さん「高校辞めるだけで人生が狂うのなんておかしいやん。だから、同級生が大学卒業するタイミングで私もちゃんと社会に出ようって決めてたし。私がこのあとしっかり幸せになって、孫でも産んで見せたら、絶対許してくれるやろって思ってた」

お父さん「そやな。親としては葛藤もあったけど、この子は自分のやりたいように進んでいくんやなって思ったわ。自分の生き方は自分で選ぶしかないし、高校を卒業しないのもひとつの生き方やし……まぁ、いまやからそう思えるんやけど。
辞めるかどうか話し合いしてるとき、あんた、なんて言うたか覚えてる?」

彩さん「目の前に壁があったら、みんなは越えていくけど、私は越えるんじゃなくて横に避ける方が早いって思うんや」

お父さん「お前はそんなことを言うか~……って思ったわ。じゃあもう好きなようにせぇ、としか言えへん」

画像2: 高校を辞めるという選択。お父さんのホンネは?

何十年か後に息子からしてほしいことを、いま両親にする

高校を辞めてしばらくは、アルバイトをしたり遊んだり、自由に過ごしていた彩さんですが、高校卒業認定を取得して、デザインの専門学校に進学しました。
そして自分の言葉どおりに、同級生が社会に出るタイミングで就職。仕事をしながらインターネット受講で美大の学士も取得しました。
その後、20代なかばで夫と出会い、28歳で男の子を出産しました。

彩さん「彼とは苗字が同じ『堀』やったから、出会ってすぐに仲良くなってんな。それで結婚を決めて、入籍して……あれ、お父さんたちには事後報告やったっけ?」

お父さん「そうやったかもしれんな。いや、一回挨拶来てくれた気がするわ」

彩さん「私はもともと彼氏をすぐ紹介するほうやし、誠実やろ?」

画像1: 何十年か後に息子からしてほしいことを、いま両親にする

お父さん「あんまり隠さへんタイプやな。確かに、親にとっては変な信頼感があるわ。結婚する言うたんは初めてやったけど、あんたが選んだ人ならそれ以上はない。自分で満足できる選択をしたわけやろ」

彩さん「あと、いまは自分以上に、あなたたち親が満足できるような人生を送りたいと思ってるよ。自分が親になったら、子どもが最高に幸せな姿を見たいって思うようになったし。息子にはちゃんと生活して、ちゃんと結婚して、できたら孫も見せてほしいもん」

お父さん「そうかもしれんな。……ほんま、孫を見せてもろてありがとうございます」

彩さん「私が何十年後かにしてほしいことを、いまやってるだけやな」

お父さん「かもしれんな。昔は大家族で孫がおるのは当たり前やったけど、いまはそんな世の中じゃないから、ほんまにありがたいことや」

画像2: 何十年か後に息子からしてほしいことを、いま両親にする

彩さん「ちゃんと仕事して、結婚して子ども産んで、不自由なく生活している姿を見せられてほんまよかったわ。……けど、息子が高校辞めたら嫌やな(笑)。子どもがみんなと同じ道を進まないのって不安なんやなって思った!」

お父さん「……ほう、そうか(笑)。親に不安を与えてきたってわかってくれたんやな。でもまぁ、あんたは肝っ玉母さんやから大丈夫や」

画像3: 何十年か後に息子からしてほしいことを、いま両親にする

お父さんと私、似てるかな?

大人になり、子どもを持って、父の気持ちが少しわかってきた彩さん。そんな言葉を受けて、お父さんはうれしそうに笑いました。

最後に、お互いに伝えたいことがないか聞いてみると……。

お父さん「面と向かっては言いにくいけど……おじいちゃん、おばあちゃんになる幸せをくれて、ほんまにありがたいと思ってるよ」

彩さん「やったぁ!」

画像1: お父さんと私、似てるかな?

照れくさそうにお酒を飲むお父さん。

彩さん「私は、昔からずっとお父さんのこと、面白い人やなぁって思ってる。改めて言わないけど、ありがとうとも思ってるしね。昔のことも含めて、親子やからいまさらあえて話さないことってあるけど、こういう機会のおかげでいっぱい話せたね」

お父さん「うん。初めて聞いたことはあんまりなかったけどな」

彩さん「普段からよく一緒に飲むし、よく話せてるってことや!」

そんな会話を終えて、彩さんが席を外したとき。
お父さんが頬をゆるめながら言いました。

「いまはお互いに腹の底までわかるから、信頼できるんですわ。あいつの性格、好きやから!」

お父さんと彩さんの性格、すごく似てますよ。
そう返すと、お父さんはまた、うれしそうに「そうやな」と一言。

画像2: お父さんと私、似てるかな?

自分の考えをしっかり持っているけれど、相手の話にも耳を傾けるところ。
照れくさいことは、茶化しながら言うところ。
普段は言わないけれど、お互いをすごく大事に思っているところ。

そんな素敵なところがよく似てる、堀さん親子でした。

取材・編集/菅原さくら+プレスラボ
写真/鶴田真実

記念になるお祝いの場をお探しの方へ

センスのある贈り物をお探しの方へ

This article is a sponsored article by
''.