親と一緒にビールを飲む。

いつまでも親と子の関係は変わらないけれど、大人になったと実感できるささいな、でも大きな出来事。

少し照れくさくても親子でビールを注ぎ合えば、隠していた思いもぽろりと出てくるかもしれない。

それなら、ふたりをつないでくれるビールも一緒につくっちゃおう。

思いをつなぐ「親子でビールづくり」、はじめます。

親子でビールづくり初体験

画像1: 親子でビールづくり初体験

親子でビールづくり体験をするのは、娘・黒沢夏実さん(24)と、母・黒沢伊都子さん(55)。

「食事のときはビール」というほど、ビールが日常に溶け込んでいるふたり。

今回つくるビールのテーマは、ふだん飲みのビールとはちょっと違う「家族で過ごすくつろぎの時間に飲みたい女子会ビール」です。

画像2: 親子でビールづくり初体験

訪れたのは、茨城県那珂市鴻巣にある木造酒造。

日本酒蔵の雰囲気を残した手造りビール工房では、つくりたいビアスタイルやアルコール度数、苦味などを決めることができるうえ、自分たちで持ち寄ったものを入れてオリジナルビールをつくることができます。

画像3: 親子でビールづくり初体験

そこで今回、黒沢さん親子が用意したのが”みかん”!みかんを入れるのはお母さんの希望だそう。

たくさんの乾燥みかんとみかんジュースを入れてつくるオリジナルビールは、どんな味になるのでしょう。

まずは、ビールのレシピ決めからはじめます。

画像4: 親子でビールづくり初体験

ふだんは濃いめのビールが好きだというふたり。目の前に並べられた常陸野ネストビールを飲み比べながら、味の相談です。

お母さん「これはいつも飲んでる、好きな味のビールだね」

夏実さん「でもみかんを入れるなら、ペールエールとかの方がいいのかな」

画像5: 親子でビールづくり初体験

今回は、いつも飲んでいるビールとはちょっと違うものをつくりたいという希望もあり、悩みに悩んだ結果、ペールエールに決定!

画像6: 親子でビールづくり初体験

ベースのスタイルが決まったら、次はホップ決め。

初めてのビールづくりだという黒沢さん親子。ホップを嗅ぐのも初めて。

画像7: 親子でビールづくり初体験

夏実さん「わ、このホップ部屋に置きたいかも(笑)」

お母さん「いろんなのを嗅いでると、なにがなんだかわからなくなってくるね」

ビールの香りの元となるホップを嗅ぐ体験。あれじゃないこれじゃないとふたりで話す姿は、とっても楽しそうです。

性格が似ているふたり

画像1: 性格が似ているふたり

レシピが決まったら、次はモルトの計量、破砕作業へ。

決められたレシピのホップを、ふたりで手分けしてテキパキと計量していきます。

画像2: 性格が似ているふたり

終始息のあったやりとりを見せる夏実さんとお母さん。おふたりの性格について聞いてみると「基本の性格は似ていると思います」という夏実さん。

お母さん「夏実はおしゃべりだったり外に発信する活発さは父譲りなんですけど、じつは自信満々に見えて心の中に不安を抱えていたり、家でゆっくりするのが好きだったり。夜、私の枕元まで来て今日の反省点を自己分析して話してきたりするんです」

夏実さん「眠いと思ってるんだろうなと思いながら、話したくなっちゃうんです」

麦芽の香りに包まれお揃いの格好でビールづくり

画像1: 麦芽の香りに包まれお揃いの格好でビールづくり

モルトを計量、破砕したらお湯の入った釜へ投入。モルトがお湯に完全に浸かるまで混ぜ、その後循環という作業へ。

循環とは、釜に入ったモルトとお湯を均等にさせること。窯の下にあるレバーをひねって麦汁をくみ、釜の上から麦汁を戻すことで、全体を混ぜていきます。

画像2: 麦芽の香りに包まれお揃いの格好でビールづくり

夏実さん「あったかい。良いにおい」

お母さん「最初は薄かったけど、だんだん濃い色になってきたね」

蛇口をひねるたびに変わる麦汁の色の変化に興味津々。

麦の良い香りが漂ってくるなか、次は糖化の作業。

画像3: 麦芽の香りに包まれお揃いの格好でビールづくり

糖化とは、麦芽のなかに含まれているでんぷんが、ベータアミラーゼという酵素の働きによって分解され糖に変わること。

ベータアミラーゼがよく働く65〜67度まで麦汁の温度を上げていきます。

画像4: 麦芽の香りに包まれお揃いの格好でビールづくり

ふと足元を見ると、おそろいの赤い靴。

「たまたまかぶったんです」とのことですが、お母さんの赤い靴にはあるストーリーが。

夏実さん「この母の靴、兄が買ってくれたんです。兄はもう家を出ているんですが、お母さんが靴を全然持ってなかったので『お母さんに選んであげて』と、私の口座にお金を入れてくれて。母と一緒に買いに行きました」

お母さん「そしたら今日、格好が似ちゃったんだよね」

画像5: 麦芽の香りに包まれお揃いの格好でビールづくり

モルトの計量、糖化、ホップの投入、モルトかすの回収を経て、本日の作業は終了です。

ふだん飲んでいるビールとはちょっと違う、ほろ苦くて甘いみかん風味のふたり用女子会ビールづくり。

食事のあとおもいおもいに読書をしたり映画を観たり、はたまた女子会トークに花を咲かせたり。そんなゆったりとした時間に寄り添ってくれるビールの完成まで5週間。完成が楽しみです。

女子会ビールの完成

画像1: 女子会ビールの完成

親子でのビールづくりから5週間、ふたりでつくったビールの完成です!

夏実さん「ちゃんとみかんの風味が残ってる!でも、選んだ麦芽とかの味がちゃんと出ていておいしい」

お母さん「おいしいおいしい!これはいいね!お父さんは『ちょっと甘い』って言いそうだけど(笑)」

甘すぎず、でもちゃんとみかんと麦の風味がするビールの仕上がりに大満足の様子。

画像2: 女子会ビールの完成

ラベルはイラストレーターの楠木雪野(くすききよの)さんにお願いし、お母さんと夏実さん、そして愛犬のモモちゃんがおうちでくつろいでいる様子を描いていただきました。

ビールのタイトルは「9630」。名字の”くろさわ”を数字表記にしたもの。このラベルを見たときの感想を聞くと「超かわいい!」と即答するふたり。

夏実さん「最初にデザイン案を送ってもらったときお母さんにも送ったら、ふだんは簡単な返事しかしてこないのに『超かわいいね』って返事がきました」

お母さん「家でまったりしてるときの雰囲気も本当こういう感じね」

画像3: 女子会ビールの完成

夏実さん「私はケータイをいじったり、お母さんは本読んだりテレビ観たり。その横で犬がおつまみほしそうに匂いくんくんかぎながらやって来るみたいな。自分たちのふだんの雰囲気が表現されていてすごく嬉しい」

お母さん「中身は飲んでも瓶はとっておく。良い記念になったね」

生活にスパイスを

画像1: 生活にスパイスを

生活において新しいことを取り入れるより、気に入ったものをずっと使い続けるタイプだというふたり。でも、今回のビールづくり体験を通して新たな気持ちが芽生えたのだそう。

夏実さん「私たちにとって、ごはんのときの飲み物はビールというほど生活の一部になっているんですが、ずっと同じ銘柄なんです」

お母さん「ふたりとも他のものを飲んでみようとか刺激を求めないね、あんまり」

夏実さん「でも、ふたりでせっかくつくるなら夜くつろいでいるとき、ふたりで映画とかを観ながらゆったり飲めるビールがつくりたいねって話して、実際に理想のビールをつくることができて。自分たちで1から選んでつくったビールを飲んで、これは生活のスパイスになるなぁって思ったんです」

お母さん「今回つくったのはペールエールだけど、ふだんは飲まないもんね」

画像2: 生活にスパイスを

夏実さん「この機会がなかったら、女子会ビールをつくろうって思うこともなかったと思います。でも、今まで飲んだことのないビールを飲んでみるのもいいなって思ったし、視野が広がってビール生活もおもしろくなるかもって思いました」

お母さん「うまくまとめたね」

夏実さん「そういうの得意なの(笑)」

お母さん「すばらしい。でも、ビールづくりは楽しかったよね。こどもが大きくなると自分の世界ができてくるので、子供と一緒に何かをやることってなくなってくるんです。だからどうしても旦那や友達と一緒の時間を過ごしちゃいがちだけど、今回は良い思い出ができました。嫁いだ後、このビールを見ながら泣くんだわ」

夏実さん「彼氏とは10年も付き合ってるのに、今さら泣くとかある?」

お母さん「泣かないかな(笑)」

夏実さん「でも、今回ビールについて考える機会ができてよかったね。家に帰ったら甘いものを食べながら9630ビール飲もうね」

日々の生活において刺激を求める人もいたり、平穏が好きな人もいたり。それは人それぞれの気持ちの流れや趣向の違いによって違うもの。

でも、平穏な生活が好きな人にとってはちょっとのスパイスがあることで、何かが少し変わることもあるのかもしれません。

変わることで、変わらないことの尊さをより感じる。そんな行動を起こしてみるのも、良いかもしれませんね。

取材/山吹彩野(ビール女子編集部)

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