結婚祝いや引越祝い、誕生日プレゼントなどの贈りものから、お土産や近所のおすそわけまで、どんなシーンでいただきものをしたらお返しをしていますか? 全国に28000人の部員を擁する女子部JAPAN(・v・)によるリアルな声を交えながら、お返しの一般常識やマナーをご紹介。シリーズを読み込めば、贈りもののプロになれるかも!第7回は、お返しや内祝いを渡すべきシーンについてお送りします。
1、どんなときにいただきものをしたら、お返しをしている?
人生の節目となるお祝いごとや季節のごあいさつ、定番のイベントなど、贈りものをいただく機会は年に何度かあるでしょう。贈りものをいただいたら、まずは相手に感謝の気持ちを伝えることが大切。電話か手紙でお礼を伝えてから、品物をお返しするのが正式なマナーです。では、実際に部員のみなさんはどのぐらいの人がお返しをしているのでしょうか。
女子部JAPAN(・v・)の部員に「どんなシーンでお返しをすべきだと思いますか?」とアンケートを取ったところ、以下のような結果になりました。
結婚祝い 83%
出産祝い 77%
誕生日プレゼント 67%
引越祝い 45%
旅行のお土産 39%
近所の人や職場の人からのおすそわけ 35%
お見舞い 29%
(複数回答可)
回答数の多かった「結婚祝い」と「出産祝い」は、人生において大事なイベントでもあり、ほとんどの方がお返しをきちんとすべきだと考えているようです。また、お祝いのシーン以外にも、旅行のお土産やおすそわけに対してお返しをすべきだと考えている人がそれぞれ4割弱いることがわかりました。
お返しにまつわるうれしかったエピソードを聞いてみると、このような意見がありました。
自分の贈りものに対して相手からお返しをいただくことは、品物をやり取りするだけではなく、お互いを思いやる気持ちのやり取りにもなるようです。
しかし、お返しはうれしい反面、こんな意見も。
お返しの内容によっては、かえって相手に気を遣わせてしまうこともあります。事前に相手の好みを調べておいたり、お返しにはどんなアイテムがふさわしいかを知っておくことも大切です。
2、お返しが必要、または不要な贈りものって?
お返しは感謝の気持ちなので、お返しすること自体がダメということはありませんが、お祝いの種類によっては、基本的には不要とされているものもあります。また、知らずにお返しをしてしまうと、かえって相手に気を遣わせてしまうことも。そこで、どのお祝いなら必要で、どのお祝いは必要ないのか、基本的な知識として知っておきましょう。
<お返しが必要なシーン>
出産祝い
結婚祝い
長寿のお祝い
新築・引越のお祝い
開店・開業祝い
病気・ケガのお見舞い
受賞のお祝い
<お返しが不要なシーン>
入園・入学祝い
誕生日のお祝い
卒業祝い、成人祝い
災害見舞い
昇進・栄転祝い
お中元・お歳暮
母の日・父の日
七五三祝い
旅行のお土産
おすそわけ
お返しが不要な場合でも、必ずお礼は伝えるようにしましょう。入学祝いや卒業祝いなどは、お返し自体は不要とされていますが、お礼状を送ったり、もしくは子どもから電話や手紙などでお礼をさせると喜ばれるでしょう。また、災害見舞いもお返しは不要ですが、落ち着いた頃に近況報告もかねてお礼状を出すと、相手も安心してくれます。
お中元やお歳暮も、基本的にはお返しは不要。ただし、どうしてもお返しをしたいという場合は、時期をずらして「暑中(寒中)御見舞」として贈ります。目上の方には「暑中(寒中)御伺」として贈りましょう。誕生日プレゼントや旅のお土産、季節の贈りものもお返しは不要ですが、電話や手紙でお礼を伝えたうえで、相手の誕生日にプレゼントを贈ったり、旅行に行った際にお土産を買って渡したりと、お互いを思いやる気持ちが大切です。
なかには、こんな悩みを持つ人もいました。
お返しをすべきか迷ってしまっても、必要か不要かをきちんと把握しておけば、モヤモヤと悩む必要もありません。また、相手にも気を遣わせてしまうこともありません。大切なのは、感謝の気持ちを言葉や文面で伝えることです。
それでもお返しをしたい、でも何を贈ればいいか迷ってしまうという場合は、目的別にお返しのギフトを紹介したサイトを参考にしてみるのもいいですし、カタログギフトを送ってご本人に選んでもらうのもいいでしょう。
3、「半返し」など、お返しの基本マナーを知っておこう!
女子部JAPAN(・v・)の部員に「お返し」に関する悩みを聞くと、64%の人が「いくらぐらいの品物にするか」といった金額に関する悩みを抱えていました。
基本的にお祝いをいただいたときのお返しは、いただいた金額の半分から3分の1程度が目安と言われています。これは、お祝いの種類によっても少し変わってくるので、下の一覧で確認してみましょう。
ちなみに、「お返し」と「内祝い」という言葉がありますが、お祝いごとがあった家がその幸せを、親しい人や親戚、ご近所さんたちと分かち合うために贈るのを「内祝い」と言います。「お返し」とは、言葉通りにお祝いをいただいたことへのお返しに用意するものです。この違いは基本的なマナーとして知っておきましょう。
<出産祝いのお返し>
出産祝いのお返しには、内祝いを贈ります。金額はいただいたお祝いの半額程度。生後1ヶ月ぐらいの時期に、お礼状や赤ちゃんの写真を添えて贈ると喜ばれます。ただし、産後はお母さんの体調が優れないことも多いので、お返しのタイミングはあくまでも目安とし、注文にはネットなどを上手に活用しましょう。
<結婚祝いのお返し>
結婚式の参列者には、感謝の気持ちを込めて引出物を渡します。お祝いをいただいたのに披露宴に出席されなかった方には、式の後に内祝いを贈ります。金額はいただいた品物の半分から3分の1程度。食器やタオルなどの実用品や、相手の好みのものを贈るのがいいでしょう。
<長寿のお祝いのお返し>
祝宴を催した場合は、招待客に紅白餅や赤飯、記念品などの内祝いを贈ります。
<新築・引越のお祝いのお返し>
新築の披露に家へ招待した場合は、新居のお披露目がお返しになるので、基本的にはそれ以上のお礼やお返しは必要ありません。お祝いをいただいて招待できなかった場合は、「新築内祝」として、いただいた品物の半分程度の金額の品を贈りましょう。
<開店・開業祝いのお返し>
披露パーティーに招待することがお返しになるので、出席者にはお返しは必要ありませんが、お店で扱っている商品や業種に関連したものなどを記念品として贈るのもいいでしょう。お祝いをいただいたのに出席されなかった方へは、記念品とお礼状を贈ります。
<病気・ケガのお見舞いのお返し>
退院後10日〜1ヶ月以内を目安に「快気内祝」を贈ります。金額はいただいた品物の半分から3分の1ほど。品物はお菓子やかつお節、調味料などが一般的です。
<受賞のお祝いのお返し>
祝賀会に招いた方へは、お返しとして記念品を用意しましょう。お祝いの品をいただいたのに出席されなかった方へは、お礼状といただいた品物の金額の半分程度のお返し、もしくは記念品を贈ります。祝電やお手紙をいただいた場合は、お礼状を送るようにしましょう。
ただし、いただいた金額の「半返し」などはあくまでも目安です。場合によっては、半返しにこだわらなくてもいいでしょう。「お返しにこんな高価なものをいただいて大丈夫?」と心配させてしまうよりは、少し控えめでも相手に似合う品物を選んだり、親しい間柄なら欲しがっていたアイテムにしたり、食事の席などを設けてみるなど、いろいろと工夫するのもいいですね。
<ミニコラム>
常備しておきたい、ちょっとしたお礼に便利なアイテム
ご近所さんから、例えば「りんごが実家からたくさん届いたから!」などと、おすそわけをいただくこともあるでしょう。そんなときに、いつでもさっと渡せる、ちょっとしたお返しを常備しておくのも、贈りもの上手になれるコツです。
おすそわけをいただいた時もお返しは不要ですが、お皿などを洗って返す時などに、ちょっとしたお菓子やプチギフトを入れておいたり、逆に何かおすそわけできるタイミングの時にお返しをするのもいいですね。
プチギフトを渡したい時に便利なのが、ある程度日持ちがして、価格も手頃なもの。たとえば、リラックスできる入浴剤のセットや可愛く包装されているキャンディ、ティーバッグのセットなど、すでに店頭でラッピングされているものを選んでいくつか買っておくと、いざというときにすぐに渡せて便利です。
お子さんがいる場合は、お友達の家に急に遊びに行くことになった場合も、手土産にプチギフトを持たせることができます。
お祝いをいただいたら気持ちを込めたお礼を伝え、内祝いやお返しの品物を贈りましょう。お祝いの種類によってお返しが必要な場合と不要な場合があるので、あらかじめ把握しておくといいですね。基本的なマナーを知っておいたり、いつでも手軽に渡せるお返しを常備しておくのが贈りもの上手になるための第一歩です。
とはいえ、うれしい気持ちを素直に伝えることが、何よりも大切。その後のお付き合いにもきっと良い影響があるでしょう。
女子部JAPAN(・v・)
シニア向けのスマホ講座のカリキュラム作成や講師を担当、スマホの使い方ガイドを制作・監修するなどをしている女子集団。スマホ以外でも、女子にまつわるさまざまな情報を発信したり、イベントを開催しています。
イラスト/なかがわみか
参考文献/手紙の書き方と贈り物のマナー 著・矢部惠子
贈り方とマナーとコツ 監修・岩下宣子
マナーのすべてがわかる便利手帳 監修・岩下宣子
高島屋のしきたり事典 著・高島屋
おつきあいのマナー新辞典 朝日新聞出版